昨今、事前に『物件評価』をしていれば防げた筈というケースをよく見掛けます。

2011年東日本大震災のとき浦安で液状化(地歴・地盤を調べていれば)
2018年西日本豪雨のとき広島の谷筋が崩壊(地歴・地形・地盤を調べていれば)
同じく2018年西日本豪雨のとき岡山県倉敷市真備町で大規模な浸水(地歴・地形・ハザードマップを調べていれば)
2019年台風19号のとき武蔵小杉のタワマンが浸水(地歴・地形・ハザードマップを調べていれば)
2020年逗子市のマンション敷地の一部が崩壊(地形・崖を調べていれば)

等々、売った業者は売れさえすれば後は野となれ山となれと知らん顔をし、住民も「知らなかった」「想定外だ」と繰り返すばかり。不動産の専門家に知り合いがいれば、「そこに住むのはやめておけ」と言ってくれたような立地ばかりです。

「長崎市青山町の私道所有者が住民に対し、私道の通行につき”通行料”を支払うように求めたトラブル」なども、専門家なら想定できた事態です。

物件評価』をおろそかにすると、最悪、家族の命を危険にさらします。2019年台風19号では神田川も決壊寸前までいきました。弊社では、神田川流域にある物件は「絶対にダメ」とお伝えしてきたのでお客様に被害は生じませんでしたが、「新宿区でも命のリスクを感じるような災害は起きうる」ということを改めて認識しました。

命に別状はなくても、建物に被害が生じると資産価値はガクッと下がります。液状化した浦安のエリアに建っていた家や武蔵小杉のタワマンなどは、災害後しばらくは売却が難しい状況が続いたようです。

なぜほとんどの不動産業者は『物件評価』をしないのか

ここで疑問が生じます。専門家が見れば容易に災害に弱いことが分かる場所にある物件をなぜ取り扱う(一般消費者に売却する)のでしょうか?

しかもほとんどの場合、そのリスクについて仲介業者は詳細な説明をしません。大手の業者(財閥系でも)でも同様です。

答えは単純です。「売らないことには手数料が入らないから」です。

物件評価』は、余計なコストなのです。さらには、営業上のリスクでさえあります。

物件評価は余計なコスト

この問題の根源は、仲介手数料が『成功報酬』であることです。
業者の方から見ると、『物件評価』をいくら頑張ったところで、自分のところで契約してくれなかったら、1銭も入ってこない訳です。評価をするために費やした時間や調査費用、内見案内で使った交通費などは、そのままマイナスとなります。

物件評価は営業上のリスク

更には、最近は、ネットで見た物件を気に入って連絡をくださるお客様が多いので、そのままクロージングすれば、数百万円の手数料が懐に入るのに、わざわざ評価をしてリスクを洗い出し、お客さんの購入意欲をそぐのはバカですよね。

費用と時間をかけて『物件評価』をすることは、仲介会社の経営上、合理性がないのです。お客様が気になると連絡をくださった物件があったら、余計なリスクは知らせずに、「さっさとクロージングしろ!」というのが多くの業者の姿勢です。また、それこそ経済合理性に適った営業なのです。

『物件評価』の必要性

マイナスを生むばかりか営業上のリスクにもなる『物件評価』をする不動産会社の愚かさをご理解いただけましたでしょうか。

しかし、最初に触れたように『物件評価』をしないで購入すると「家族の命を危険にさらす」「資産性が下落する(財産を失う)」事態となります。

『物件評価』をしないことのリスク

弊社が『物件評価』に注力しているのは、ボランティア精神からではありません。変な物件を勧めてしまい、そこでお客様が生活を続け、地震や豪雨の際に何かあったら怖いからです。

弊社を信じてくださって、弊社から物件を購入してくださったお客様にリスクを負わせたくないからです。更には、家族を失うような事態になったらと考えたら、「住まい」を勧めるというのは怖い商売だと感じてしまうのです。

一般消費者に対して、不動産の知識を持っている業者は、その知識をお客様のために使わなくてはなりません。リスクを隠さないまでも、きちんと説明しなかった業者は訴えられても仕方がないと思います。

不動産というのは非常に複雑で難しい商品です。ただのモノとしてそこに存在するのではなく、「これはこういう物件だ。」という情報が付いてきて初めて安心して購入できる商品となります。不動産にはリスクがつきものだということを認識して頂きたいと思います。

一番大切なのは『物件評価』

「物件検索」をし、その中から気に入った物件を選び、「契約」をするというのが不動産購入の流れですが、やっぱりその中で一番大切なのは、気に入った物件を選ぶ際に指針となる物件評価』です。

物件評価』が消費者と専門家との間に最も情報格差があり、ここでリスクを洗い出せないと、しつこいですが命の危険さえあるためです。

物件評価』をきちんとしている業者は、自身が洗い出したリスクによりお客様が購入の意思を翻意しても仕方がないと思っています。それよりも、リスクのない物件に住んでいただき、安心安全な生活を送っていただきたいと願っているのです。

ただ、これが、なかなかないんです。リスクがほとんど認められない、価格も手頃な物件というのが。でも、出てこない訳ではないので、お客様と一緒に我慢強く探したいと思っています。

契約・重説も不安を残さない(契約サポート)

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